ボーカルテクニックの一つであるこぶし。
こぶしと聞いて、演歌を想像する方も多いのではないでしょうか?
しかし、こぶしはさまざまな音楽ジャンルで使われており、歌詞の強調やインパクトを与えたい時に有効です。
ですが、実際にこぶしの出し方を把握している方は少ないはず。
そこで、本記事ではこぶしの出し方について紹介します。本記事で押さえておきたい内容は、以下の通りです。
- こぶしとは
- こぶしの出し方
- こぶしを出すための発声練習
上記について詳しく紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
ボーカルテクニック「こぶし」はどんなテクニック?
こぶしとは、歌っている時に一瞬だけ音程を上下させるボーカルテクニックです。
こぶしと聞くと演歌で使われているイメージが強いですが、現代のJ-POPやロックなど幅広いジャンルで使われています。
こぶしの由来は「小節」からきており、楽譜や音程に表せないほどの小さな音の動きのことを指しています。
こぶしとビブラートは何が違う?
こぶしは音程を一瞬上下させるボーカルテクニックということを紹介しましたが、音を震わせるボーカルテクニックの一つとしてビブラートというものがあります。
一見、似たようなボーカルテクニックのように見えますが、深掘りしていくと異なるボーカルテクニックです。
そこで、ここからはこぶしとビブラートの違いについて紹介します。
こぶしは声をうねり出すようなテクニック
先ほども紹介したように、こぶしは音程を上下にして歌うボーカルテクニックのことを指します。
さらに細かく紹介すると、こぶしは音程を上下にする際に不規則的な入れ方をします。
そのため、単に上下させるというよりかは、音をうねらせるようなイメージの方が想像しやすいでしょう。
また、こぶしはビブラートに比べて力強さを出すことができるので、震わせながらも力強さを出したい時におすすめのボーカルテクニックです。
ビブラートは声を規則的に上下させるテクニック
一方、ビブラートは規則的に声を震わせるボーカルテクニックのことを指します。
こぶしと大きく異なる点として、聞き手に心地よさを与えられることが期待できます。
綺麗に歌いたかったり、聴き手に心地よい歌声を聞かせたいという時には、このビブラートを入れることでより理想的な歌唱が可能となるでしょう。
こぶしを出すための練習方法
こぶしを出すためには、見よう見まねだけでは習得することは難しいでしょう。
こぶしを出すための練習を反復し、自身の歌唱の幅を広げられるようにしましょう。
ここからは、こぶしを出すための練習方法について紹介します。
腹式呼吸を身につける
こぶしを身につける練習方法として、腹式呼吸を外すわけにはいきません。
これはこぶしだけに限らず、歌唱力を高めるためにも腹式呼吸をマスターする必要があります。
腹式呼吸をマスターしていないと、歌っている時に余計なところで息継ぎをしてしまったり息切れしてしまったりするなど、安定しない歌い方になってしまいます。
反対に、腹式呼吸を身につけることでこぶしやロングトーンなど、安定した歌い方が可能となるので、歌が上手になりたい方は必ず身につけたい呼吸方法です。
腹式呼吸の練習方法は本記事の下部で紹介しているので、合わせてご覧ください。
ロングトーンを意識する
こぶしを安定して出すためには、ロングトーンを意識する必要があります。
ロングトーンは一定の量で息を吐き続けられることで安定しますが、息を吐く量が安定しないとこぶしも安定して入れることができません。
ロングトーンを意識するためにも、まずは歌唱中で吐く息の量を一定にする意識を持ちましょう。
ロングトーンを意識できるようになると、こぶしだけでなく全体的な歌唱力の向上にもつながります。
こぶしが多用されている歌で練習する
こぶしを習得する上で、こぶしが多用されている歌で練習することも有効です。
こぶしの練習をしたくても、実際にどのように入れているか想像がつかない方も多いはず。
冒頭でも紹介しましたが、こぶしは演歌だけでなくJ-POPのさまざまな楽曲で採用されているので、参考かつ練習しやすいことでしょう。
自分の好きな歌からこぶしの練習をおこなうことで、こぶしの習得度が速まるかもしれません。
カラオケなどの精密採点でこぶしを意識する
こぶしの練習がある程度できてきたら、カラオケなどの精密採点でこぶしが出せているか判定してもらいましょう。
自分の中でこぶしができていると思っていても、採点したらこぶし判定されなかったということは多々あります。
仮にこぶし判定されてなかったとしても、こぶし部分にもっと強調を入れるといった改善も可能です。
また、反対に思ってもいないところでこぶし判定がされていると、音程が外れているといった把握もできます。
こぶしの練習が深まったら、精密採点でこぶしが正しく入れられているか確認することも有効な練習方法の一つと言えるでしょう。
こぶしをしっかりと出すためのコツ
こぶしをしっかりと出すためにはコツが存在します。
やみくもにこぶしを効かせようとするよりも、コツを掴むことで声帯に負担をかけずにしっかりとしたこぶしをかけられるでしょう。
ここで紹介するこぶしを出すコツを掴み、こぶしを自分のものにしていきましょう。
母音を2回出す
こぶしをしっかりと出すコツとして、母音を2回出すことが挙げられます。
例えば、「歩いてく」という歌詞に、最後の「く」を「くぅぅ」というように歌うことで、こぶしを効かせることが可能です。
この時に音を上下させることでこぶしを出すことができるので、やり方がいまいちわからない方に一度取り組んで欲しいコツです。
声を伸ばす際に上下させる
こぶしを出すコツとして、声を伸ばす時に音を上下させることも有効です。
先ほどは母音を2回出すというコツを紹介しましたが、イメージとしてはフレーズの語尾を伸ばすだけというコツです。
しかし、語尾を伸ばすという部分に音の上下を加えることで、本格的なこぶしを入れることが可能です。
先ほどの「歩いてく」の「くぅぅ」部分を、「く↑ぅ↓ぅ」といったイメージで歌いましょう。
発生する時は喉でコントロールする意識でおこなうと、うまくこぶしを出しやすいでしょう。
歌唱の強調を意識する
こぶしを入れる際は、歌唱の強調を意識しましょう。
そもそも、こぶしの役割は歌詞の強調にあります。
そのため、あらゆるところでこぶしを入れてしまうと強調だらけの歌になってしまうので、歌唱の強調部分にこぶしを入れる意識を持ちましょう。
手のひらでしっかり握って歌う
感覚的なものになりますが、こぶしを入れる際に手のひらを握って歌うことも有効です。
手のひらを握ることで、体に力が入り歌詞を強調しやすくなります。
なかなか力を入れて歌えないという方は、こぶしを入れる際に手のひらを握って歌ってみてください。
こぶしを出すためには発声練習も大切!
正しいこぶしを出すためには、日頃の発声練習が大切です。
また、発声練習をおこなうことで、こぶしだけでなく全体的なボーカルテクニックも向上するでしょう。
ここで紹介する発声練習をマスターし、自身の歌唱力アップにつなげてください。
声帯閉鎖トレーニング
声帯閉鎖トレーニングは、歌う時に声帯になるべく負担をかけないようにするトレーニングです。
このトレーニングの目的は、声帯を閉じる部分にあります。
声帯閉鎖トレーニングを反復することで、歌う時に適切な声帯の開きで歌うことが可能になります。
適正な声帯の開きで歌うことで、声帯に負担をかけずに幅広い音域で歌うことにつながるでしょう。
声帯閉鎖トレーニングのやり方は、以下の通りです。
- 「あー」と声を出す
- 一定のラインで声を出すことを止める
- 声を出すことを止めた時に声帯が閉じていることを確認する
上記のトレーニングを繰り返し、声帯が閉じている感覚を養いましょう。
また、次項で紹介するエッジボイストレーニングにも付随するので、合わせて確認してみてください。
エッジボイストレーニング
エッジボイストレーニングは、声帯を閉じた状態で声を押し出すようなトレーニングです。
エッジボイストレーニングを深めることで、こぶしを効かせやすくなることはもちろん、高音域が出しやすくなるメリットがあります。
エッジボイスのトレーニングの具体的な方法は、以下の通りです。
- 声帯周りの筋肉をリラックスさせる
- リラックスした状態で「あー」と声を伸ばす
- 伸ばした状態で音程を低くする
- ガラガラとした声まで低くし、息が切れるまで声を出す
上記の手順でトレーニングを進めることで、こぶしを出すためのより良い発声練習となるでしょう。
腹式呼吸トレーニング
先ほども紹介しましたが、こぶしを出すことにおいて腹式呼吸は重要です。
しかし、腹式呼吸は簡単にできる呼吸方法で、歌唱トレーニングの中では比較的基礎に近いものとなります。
具体的なトレーニング方法は、以下の通りです。
- 鼻から息を吸う
- 吸った時に下腹部を大きく膨らませる
- 口から吐き出す時に下腹部を凹ませる
上記を意識するだけで、腹式呼吸を習得することができます。
腹式呼吸をやるのは簡単ですが、歌っている時に腹式呼吸を使わなければなりません。
上記で紹介したトレーニング方法を意識して、実際の歌唱中も腹式呼吸を使って歌うようにしましょう。
こぶしをマスターして歌唱力を上げよう!
こぶしは、フレーズの強調をおこないたい時に有効なボーカルテクニックです。
ビブラートと似ている部分がありますが、不規則に声を震わせるこぶしは聴き手にインパクトを与えます。
また、こぶしは出すためにもコツがあるので、本記事で紹介したコツや発声練習を参考にして、自身の歌の表現力を広げていきましょう。
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