「倍音ってよく聞くけど、どういう意味なんだろう?」
「楽器からも倍音を聞き取ることはできるの?」
音楽や楽器の演奏に興味がある方、あるいは音の聞こえ方などに関心がある方の中には、このような疑問をいただいている方も多いのではないでしょうか。
倍音は、歌唱や楽器の演奏における重要な要素であり、正確に理解して使いこなすことができれば、魅力的な音を生み出すことができます。
そこで今回は、楽器における倍音というテーマで、倍音と音の聞こえ方の関係性や楽器における倍音の特徴、倍音を綺麗に出すためのコツなどについてご紹介します。
楽器における倍音について知りたいという方は、ぜひ本記事の内容を参考にしてみてください!
また、倍音については「音の豊かさを生み出す「倍音」とは?初心者にもわかりやすくプロが解説!」にて解説しているので、気になる方はぜひこちらもご覧ください!
倍音とは?
まずはじめに、倍音についてご紹介します。
倍音とは、音の基本となる周波数(基音)の整数倍の周波数を持つ音のことを指します。
例えば、ピアノやギターなどの楽器で一つの音を鳴らすと、実際には基音に加えて複数の倍音が同時に発生しています。
歌声、あるいは楽器は、声を出す人や奏る楽器によって同じ音でも聞こえ方が異なります。
これは、声を発する人や楽器によって倍音の組み合わせが異なり、倍音の強さなどによっても楽器特有の音色や音質が左右されるからです。
とは言え、音を聞いただけで倍音を正確に聞き取ることは難しく、周波数のように可視化しなければ認識することは困難であると言えます。
感覚的な面で言えば、フルートのような澄んだ音は倍音が比較的少なく、オーボエのような豊かな音色は倍音を多く含んでいるようなイメージです。
また、歌声における倍音については「【倍音とは?】歌声の特徴や基音との違い、歌う際のテクニックについてプロが解説!」にてご紹介しているので、気になる方はぜひこちらもご覧ください!
倍音と音の聞こえ方の関係性
次に、倍音と音の聞こえ方の関係性についてご紹介します。
前述したように、倍音は音の聞こえ方に大きく関わっており、私たちが認識する音色や音質を左右する重要な要素の1つです。
同じ基音(基本周波数)を持つ音であっても、含まれる倍音の種類や強さによって全く異なる音として聞こえるため、同じ音として声を出していたとしても、人によって聞こえ方が異なるのです。
また、歌手の中には、歌声の中で倍音を使いこなすことができる方も一定数存在し、歌のテーマや曲調、雰囲気に合わせて倍音を適切に使いこなしています。
歌声や楽器にも倍音が存在する
前述したように、倍音は歌声や楽器の音それぞれに含まれており、倍音があるからこそ異なる幅広い種類の歌声 / 楽器の音を楽しむことができているのです。
多くの人が認識こそしていないものの、歌を歌う際に音の強弱を意識したりビブラートを意識したりする場面では、無意識下で倍音の出し方を調節することで音の響き方などをコントロールしています。
例として、オペラ歌手が大きなホールでオーケストラの音を超えて声を届けられるのは、2500-3000Hz付近の倍音を強調する発声技術を身につけているからです。
また、楽器の場合も同様で、ピアノの弦を弾くと、基音に加えて多くの倍音が同時に鳴ります。
これは、弦の振動が基本周波数の2倍、3倍、4倍…という具合に分割されて起こるためです。
倍音の構造は、人の歌声と同様に楽器一つひとつによっても異なるため、同じ音階の音でも、ピアノとバイオリンでは聞こえ方が全く異なります。
このように、歌声や楽器にも倍音が存在し、それぞれが異なる構造で組み合わさっているが故に、世の中にこれだけの種類の「音」が存在しているのです。
ピアノにおける倍音については「【倍音はピアノで聴ける!】トレーニング法や倍音が大切な理由をプロが徹底解説!」にてご紹介しているので、気になる方はぜひこちらもご覧ください!
倍音は聞き分けられる?
では、そんな倍音を正確に聞き取ることはできるのでしょうか。
結論、倍音を聞き取ることは可能です。
とは言え、普段身の回りで聞こえる人の声や何かしらの音の中に倍音がどのように含まれているのかを細かく聞き分けることは非常に困難です。
そんな中、倍音を聞き取るという点においては、ピアノを使った方法がオススメです。
例えば、低い「ド」の鍵盤を優しく押さえたまま、1オクターブ上の「ド」を強く弾いて音を止めると、低い「ド」の弦が共鳴して鳴り続けるのが確認できます。
これは、高い音(第1倍音)が低い音(基音)の中に含まれているためです。
また、歌声における実践的な練習方法としては、ハミングが挙げられます。
「んー」と鼻にかかった声で歌いながら口を徐々に開いていくと、倍音の変化を体感することができます。
特に「イー」の母音は高次の倍音が豊富で、「ウー」は低次の倍音が強調されるため、この違いを意識して発声することで、倍音の違いを感覚的に理解することができるでしょう。
【関連記事】
・【倍音の出し方とは?】魅力的な歌声を生み出す方法や歌唱力を上達させる方法をご紹介!
楽器の種類と倍音
本項目では、楽器の種類と倍音について、以下の3種類の楽器に分けてご紹介します。
- 弦楽器
- 管楽器
- 打楽器
① 弦楽器
1つ目は「弦楽器」です。
弦楽器とは、縦にはられた糸をひいて鳴らす楽器で、バイオリンやギター、ピアノなどが挙げられます。
弦楽器における倍音は、弦の振動によって生み出され、弦全体の振動(基音)に加えて、弦が複数の部分に分かれて振動することで倍音が発生します。
弦楽器における倍音は、弦の材質や張力、長さ、演奏方法などによって倍音の強さや特徴が変化します。
② 管楽器
2つ目は「管楽器」です。
管楽器とは、吹き口から息を吹き込んで管内の空気を振動させることで音を出す楽器のことで、フルートやトランペット、サックスなどが挙げられます。
管楽器における倍音は、管の中の空気柱の振動によって生成されます。
管の長さと形状によって基本となる音程が決まり、演奏者の息の強さや唇の使い方によって倍音をコントロールすることができます。
管楽器の倍音の特徴には、管の形状による倍音の違いが挙げられます。
例えば、円筒管のフルートは偶数次の倍音が強く、円錐管のオーボエは奇数次の倍音が強調されるといった具合です。
③ 打楽器
3つ目は「打楽器」です。
打楽器とは、叩いたり振ったりすることで音を出す楽器のことを指し、ドラムやシンバル、木琴などが挙げられます。
打楽器における倍音は、楽器の形状や材質、そして打撃方法によって大きく異なります。
例えば、ティンパニーのような膜鳴楽器では、膜の振動モードによって特徴的な倍音が生まれ、チューニングによってこれをコントロールすることができます。
楽器における倍音の特徴
本項目では、楽器における倍音の特徴について、以下の5つをご紹介します。
- 倍音によって聞こえ方が異なる
- 整数倍音と非整数倍音がある
- 楽器の材質によって倍音の強さが変化する
- 演奏技法によって倍音の出方が変わる
①倍音によって聞こえ方が異なる
楽器における倍音の特徴の1つ目は「倍音によって聞こえ方が異なること」です。
前述した通り、同じ音でも楽器によってその音の聞こえ方が異なるのは、各音に含まれる倍音が異なるからです。
例えば、同じ「ド」の音を演奏しても、フルートは高次の倍音が少なく澄んだ音色に聞こえますし、オーボエの場合は豊富な倍音によって深みのある音色となります。
そのため、楽器の演奏者は倍音の特性と楽器の特徴を理解することで、より表現豊かな演奏を実現しています。
②整数倍音と非整数倍音がある
2つ目は「整数倍音と非整数倍音があること」です。
楽器の音に限らず、倍音には 基音の周波数の整数倍である「整数倍音」と、整数倍ではない「非整数倍音」が存在します。
弦楽器や管楽器は主に整数倍音を生み出し、これが調和のとれた心地よい響きの源となっています。
一方、シンバルやベルなどの打楽器では、非整数倍音も多く含まれており、これが特徴的な響きを生み出しています。
③楽器の材質によって倍音の強さが変化する
3つ目は「楽器の材質によって倍音の強さが変化すること」です。
倍音の性質は、楽器の材質によっても異なります。
例えば、木製の楽器の場合は一般的に低次の倍音が強調され、温かみのある柔らかい音色となります。
一方金属製の楽器は高次の倍音が豊富で、明るく輝かしい音色を持つ傾向にあります。
全ての楽器が材質によって一定の共通する音を生み出す訳ではありませんが、楽器の素材によっても倍音の質が変化するという点は、覚えておくと良いでしょう。
④演奏技法によって倍音の出方が変わる
4つ目は「演奏技法によって倍音の出方が変わること」です。
楽器に関する項目でも少し触れましたが、演奏技法によっても倍音の出方は異なります。
弦楽器では、弓を使う位置や圧力によって強調される倍音が変化し、ブリッジ付近の糸を弾くと高次の倍音が強調され、明るい音色になります。
また、管楽器では、息の強さや口の形を変えることで倍音をコントロールすることで、意図的に特定の倍音を強調することができるのです。
倍音は、歌声でも出せる
いかがでしたでしょうか。
今回は、楽器における倍音というテーマで、倍音と音の聞こえ方の関係性や楽器における倍音の特徴、倍音を綺麗に出すためのコツなどについてご紹介しました。
楽器における倍音は、正確に認識して音を聞き取ることは難しいと言えます。
とは言え、倍音によって楽器で奏る音が変化するという点を頭に入れておけば、演奏の方法や表現の幅が広がるでしょう。
また、倍音は歌声を通して表現できるものでもあるため、より魅力的な歌声を手に入れたいという方は、ぜひ横浜ボーカル教室に遊びに来てください。
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