「上達には倍音が大切とは聴くけど、どんな音?」
「ピアノで倍音を聴きたいけど、どうすれば聴こえるの?」
音楽に携わる方の中には、ピアノで倍音を聴けるようになりたい方も多いのではないでしょうか。
倍音は、音楽の魅力を高める重要な要素の1つで、演奏家や歌手にとって欠かせない音と言っても過言ではありません。
そこで今回は、倍音をピアノで聴く方法や聴こえないときのトレーニング法などをくわしく解説していきます。
演奏や歌唱力を上達させたい人は、ぜひ本記事の内容を参考にしてください。
倍音とはどんな音?
まずはじめに、倍音についてご紹介します。
音は、単一の周波数ではなく、基音と倍音という、複数の周波数で構成されています。
基音とは基本となる音の高さのことで、倍音とは基音と同時に発生する音を指します。
例えば、ハスキーボイスの人が歌っているとき、かすれた音が聴こえますが、これは基音である音程と倍音が聴こえている状況だと言えます。
自然界に単純な音は存在しないため、ピアノに限らず、私たちが耳にするあらゆる音には倍音が含まれています。
また、倍音の中でも種類があり、含まれる倍音が多いほど音が豊かになると言われています。
倍音については「【倍音とは?】歌声の特徴や基音との違い、歌う際のテクニックについてプロが解説!」にてより詳しく解説しているので、気になる方はぜひこちらもご覧ください!
倍音は2種類ある
ここでは、倍音の種類についてご紹介します。
倍音は、次の2種類に分けられます。
- 整数次倍音
- 非整数次倍音
①整数次倍音
倍音の種類の1つ目は「整数次倍音」です。
整数次倍音とは、基音に対して整数倍の周波数(Hz)を持つ音のことです。
基音の2倍の周波数の音を2倍音、3倍の周波数の音を3倍音と言います。
音階で例えると、ピアノの鍵盤の中央「ラ」の音は440Hzですが、440Hzの「ラ」の2倍音は880Hzである1オクターブ上の「ラ」、3倍音では1320Hzの「ミ」の音になります。
整数次倍音が含まれる音は、クリアな音質のため、聴いていて気持ちが良いと感じるでしょう。
②非整数次倍音
倍音の種類の2つ目は「非整数次倍音」です。
非整数次倍音とは、基音に対して不規則な周波数を持つ音のことです。
ピアノの場合、ハンマーが弦を叩いたときに生じる「コン」という音も非整数次倍音にあたります。
非整数次倍音はノイズのような音のため、整数次倍音と比べるとざらざらとした音質になりやすいです。
しかし、ハスキーボイスのように、あえてノイズが入ることで魅力的に感じる音色もあります。
ハスキーボイスについては「【ハスキーボイスとは?】その魅力や習得するためのボイトレ方法をわかりやすく解説!」にてご紹介しているので、気になる方はぜひこちらもご覧ください!
倍音をピアノで聴くには?
ここからは、倍音をピアノで聴く方法をご紹介します。
ピアノの倍音は、ダンパーベルトを踏んで1音ずつ鳴らしてみると聴こえやすいでしょう。
例えば、ドの音を鳴らして耳を澄ましてみると、1オクターブ上の「ド」、完全5度の「ソ」の音が聴こえます。
聴こえづらいときは、鳴らす音(基音)の2倍音がどんな音かを先に確認すると聴こえやすくなります。
とは言え、これまで倍音を意識して聴いたことがない人は聴き取りづらいかもしれません。
トレーニングを繰り返すことで、いろいろな音が聴こえるようになってくるので、まずは意識して聴くことを習慣化しましょう。
倍音が聴こえないときのトレーニング法
ここでは、ピアノで倍音が聞こえないと感じる際に実践すべきトレーニング法を3つご紹介します。
- ロシア奏法によるピアノ演奏を聴く
- 倍音が多く含まれる楽器の音を聴く
- 倍音を使いこなす歌手の曲を聴く
①ロシア奏法によるピアノ演奏を聴く
倍音が聴こえないときのトレーニング法の1つ目は「ロシア奏法によるピアノ演奏を聴くこと」です。
ピアノ奏法には様々な種類がありますが、その中の1つにロシア奏法があります。
ロシア奏法とは、腕や身体の重さを利用して弾く方法です。
倍音による豊かな音色が特徴で、オーケストラに引けを取らないほどホールでの響きが良いと言われています。
ロシア奏法を用いた有名なピアニストには、以下のような人たちがいます。
- ウラディミール・ホロヴィッツ
- グレゴリー・ソコロフ
- ゲンリフ・ネイガウス
ロシア奏法によるピアノ演奏を繰り返し聴くことで、倍音が生み出す音色を感じられるようになるでしょう。
②倍音が多く含まれる楽器の音を聴く
2つ目は「倍音が多く含まれる楽器の音を聴くこと」です。
ピアノよりも音色に多くの倍音が含まれる楽器があります。
例えば、トランペットはピアノよりも多くの整数次倍音を含んでおり、音の輪郭がはっきりするため、ロングトーンでの倍音が聴きとりやすいです。
ピアノで倍音が聴きとりにくいときは、他の楽器の音を聴いてみるといいでしょう。
③倍音を使いこなす歌手の曲を聴く
3つ目は「倍音を使いこなす歌手の曲を聴くこと」です。
発声する音にも倍音は含まれており、倍音が多くなると特徴的な声質になります。
倍音を使いこなす歌手には、以下のような人たちがいます。
- ジャニス・ジョプリン(整数次倍音)
- 浜崎あゆみ(整数次倍音)
- 森進一(非整数次倍音)
- 宇多田ヒカル(非整数次倍音)
- 宮本浩次(2種類の倍音を含む)
整数次倍音の歌唱は、音の輪郭がはっきりしていてパワフルな印象を受けます。
一方の非整数次倍音の歌唱は、ゆらぎによるリラックスを感じられます。
倍音を使いこなす歌手の曲を聴くことで、倍音による声色の違いを感じやすくなり、歌唱や演奏で倍音を意識できるようになるでしょう。
歌手や奏者にとって倍音が大切な理由
倍音は、歌手や演奏者にとって、演奏や歌唱の上達につながる大切な要素です。
ここからは、歌手や奏者にとって倍音が大切な理由を3つご紹介します。
- 音色が魅力的になるから
- 音の響きが良くなるから
- 音感が鍛えられるから
① 音色が魅力的になるから
歌手や奏者にとって倍音が大切な理由の1つ目は「音色が魅力的になるから」です。
前述したように、基音の中に倍音が多く含まれると、音色が複雑になり、魅力的な印象になります。
そして、魅力的な音色は聴き手の心を動かし、魅了することにもつながるでしょう。
倍音を多く含む技法や歌唱法によって、表現力のさらなる向上が期待できます。
② 音の響きが良くなるから
2つ目は「音の響きが良くなるから」です。
基音には整数倍となる2倍音や3倍音が含まれますが、この中には不協和音とともに多くの協和音が混ざっています。
そのため、基音に含まれている倍音が多いほどハモリに近い状況になり、音が響いていると感じやすくなります。
舞台上で音を響かせて観客に届けるには、倍音が必要不可欠であると言ってもいいでしょう。
③ 音感が鍛えられるから
3つ目は「音感が鍛えられるから」です。
前提として、倍音を聴きとるには音階を理解しておく必要があります。
例えば、基音の「ド」の倍音には「ミ」と「ソ」が含まれますが、「ミ」や「ソ」の音程がわからないと、倍音を聴きとることは難しいでしょう。
音感は音の高低や音色を聴きわける能力のことです。
音感を身につけるには楽器などの音に触れ、まずは音程に対する理解を深めることが大切です。
また、音感は聴力が発達する幼少期の方が身につきやすいと言われています。
大人になってからの習得は、幼少期よりも難しいため、音階を意識して聴くなどのトレーニングを積み重ねていきましょう。
歌や演奏を上達させるポイント
最後に、歌や演奏を上達させるポイントを5つご紹介します。
- 豊かな音色を意識する
- 表現力を高める
- 抑揚を意識する
- 録音して課題を見つける
- プロから直接指導を受ける
① 豊かな音色を意識する
歌や演奏を上達させるポイントの1つ目は「豊かな音色を意識すること」です。
意識して音色を使い分けることで、豊かさや個性を感じられる演奏や歌唱ができます。
例えば、ピアノ演奏の場合、指先を使って鍵盤を弾く音と指の腹でしっかり鍵盤を抑える音では、音の軽さや粒の大きさが異なります。
倍音だけでは豊かな音色は作れません。
実際には、音の強弱や響かせ方など複雑な要素で構築されているのです。
演奏や歌唱の上達には、豊かな音色を意識した奏法など様々な技術が必要です。
② 表現力を高める
2つ目は「表現力を高めること」です。
演奏や歌唱に表現力が加わることで、聴き手の感情を刺激し、魅了することができます。
表現力を高めるには、ビブラートなどの技術だけでなく、以下のような方法も必要です。
- 曲が制作された背景を理解する
- 曲に感情移入する
- 情景をイメージする
演奏や歌唱する曲のことを深く知り、世界観に没入することで、音色に感情がのりやすくなります。
③ 抑揚を意識する
3つ目は「抑揚を意識すること」です。
音の強弱など、抑揚を意識しないとのっぺりとしてしまい、退屈な印象を与えかねません。
曲には、サビなどの盛り上がる箇所や静寂を感じさせるポイントがあるはずです。
場面に応じた抑揚を意識することで、聴き手に上手いと感じさせやすくなります。
④ 録音して課題を見つける
4つ目は「録音して課題を見つけること」です。
演奏や歌唱中は主観が入ってしまうため、改善点がわかりにくいのも事実です。
そのため、演奏や歌唱を録音して聴きなおすことで、以下のような課題を発見できるようになります。
- テンポや音程のズレ
- 表現力の乏しさ
演奏や歌唱の上達には、課題の改善が必要なため、気になる方は一度試してみるといいでしょう。
⑤ プロから直接指導を受ける
5つ目は「プロから直接指導を受けること」です。
改善点がわかっても、どのように練習を続ければ改善されるのかわからない人も多いはずです。
しかし、プロから直接指導を受ければ、プロが持つテクニックやより効果的な練習法などを学ぶことができるため、演奏や歌唱力のさらなるスキルアップが期待できます。
プロから学ぶ方法としては、音楽教室でのレッスンが挙げられます。
また、音楽教室にはレベルや目的の異なる様々な仲間がいるため、レッスンの内容だけでなく、情報交換などの有意義な交流も期待できます。
倍音を使って歌唱力を上げたい方は、横浜ボーカル教室へ
いかがでしたでしょうか。
今回は、倍音をピアノで聴きたい人に向けて、倍音の種類やトレーニング法、演奏や歌唱力の向上に役立つ情報をご紹介しました。
倍音は音色を豊かにして、演奏や歌唱に個性をもたらす大切な要素です。
しかし、倍音を多く含む音色を奏でるためには、高いレベルの専門知識や技量が必要です。
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